塗布工程の自動化のポイント

塗布工程は、製造業において重要な役割を果たします。塗布工程の自動化により、生産効率の向上、品質の均一化、安全性の確保など、多くのメリットが得られます。この記事では、塗布工程の自動化に関する具体的なポイントと事例を紹介します。

手動塗布工程の課題

手動塗布工程にはいくつかの課題があります。

  • 品質のばらつき: 手動作業では、作業者の技能による品質のばらつきに対策が必要。
  • 効率の低さ: 手動作業は時間がかかり、生産効率が低くなりやすい。
  • 安全性の問題: 溶剤や塗料は人体に有害なことが多く、作業者の安全が脅かされる場合がある。

自動化した場合のメリット

一方で、塗布工程の自動化には以下のようなメリットがあります。

  • 品質の均一化: 自動化により、作業のばらつきが軽減され、常に一定の品質が保たれる。
  • 生産効率の向上: 自動化により作業時間が短縮され、生産効率が向上する。
  • 作業環境の改善: 塗布作業の自動化により、作業者の負担が軽減され、作業環境が改善される。

技術的ポイント

塗布する液体の種類と対策

塗布する液体の種類によって必要な対策が異なります。

  • 接着剤、塗装、水(強アルカリ水等)、洗浄液など、使用する液体に応じた機器選定が重要です。
  • 材質の選定: 酸性・アルカリ性の液体の場合、耐食性を考慮して構造材や機器を選定する必要があります。
防爆対策

防爆が必要な場合、塗布する液体に応じて適切なクラスの防爆対策を行います。

  • 防爆レベルの選定: 溶剤が入っている場合は必須、アルカリ水やノリの場合は不要。
  • 防爆設備の導入: 防火シャッター、防爆扉、防爆リレーなど、防爆仕様の機器を選定します。
飛散防止対策

作業環境への悪影響を防ぐため、塗料の飛散防止対策を検討する場合は以下の検討が重要です。

  • 排気設備の検討: ファンやフィルター等を使用。
  • フィルターの交換タイミング: 導入後の消耗品の交換に関する運用も取り決める必要があります。
塗布方式の選定

塗布工程には、いくつかの塗布方式があり、用途に応じて選定する必要があります。

  • スプレー塗布: 広範囲に均一に塗布するのに適しています。
  • ノズル塗布: 精密な位置に特定量を塗布するのに適しています。
  • ディップ方式: ワークの全体または一部にコーティングしたい場合に適しています。
  • ローラー方式: シート状の製品に一様に塗布したい場合に適しています。
スプレー塗布の制御方法の選定

スプレー塗布を効果的に制御するためには、以下の方法があります。

  • XYZθの直交座標ロボット: 比較的安価で実装可能ですが、複雑形状や品種追加が多い場合には不向きです。
  • 6軸ロボット: 複雑な形状の制御が必要な場合に最適です。3次元データからティーチングが可能で、精度の高い作業が実現できますが、コストは高くなります。
品質管理レベルの選定

塗布後の品質管理も同時に自動化したい場合、管理レベルに応じた方式の選定が必要です。

事例紹介

自動車部品メーカーの事例

ある自動車部品メーカーでは、塗布工程の自動化により、品質と生産量が向上し、作業環境も改善されました。治具段替えによる多品種対応も要件に組み込んだため、柔軟な生産体制が実現出来ました。また、カメラ検査による品質管理も行うことで全数検査も可能になりました。

まとめ

塗布工程の自動化は、品質の向上、生産効率の向上、安全性の向上など、多くのメリットをもたらします。

一方で塗布する液体の種類によっては注意すべき点も数多く存在するため、我々の様な自動化の専門家や自社の技術者の意見を取り入れ、自社の製造ラインに最適な自動化ソリューションを見つけることが重要です。

御社の塗布工程の要件に合わせたオーダーメイドのソリューションを提供いたします。見積・相談は無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。