溶接自動化のポイント

溶接工程の自動化は、製造業の生産性と品質を向上させる重要な技術です。
特にスポット溶接とアーク溶接の自動化は、多くの製造現場で重要な課題となっています。

本記事では、これらの溶接技術をロボットで自動化する際のポイントを詳しく解説します。

1. 溶接自動化のメリット

溶接自動化のメリットは以下の通りです:

  • 安定した高品質の溶接: 手作業によるばらつきを排除し、常に同じ品質を維持できます。
  • 生産性の向上: 作業速度が向上し、大量生産が可能になります。
  • 安全性の向上: 危険な作業から作業者を解放し、労働災害を防ぎます。
  • コスト削減: 長期的に見て人件費や材料費の削減につながります。
  • 省人化: 少ない人員で大規模な生産を実現できます。

2. 各溶接手法に共通する重要ポイント

治具の設計

  • スポット溶接とアーク溶接の両方において、治具の設計は溶接の品質と効率を左右する重要な要素です。
    治具がワークを正確に保持し、溶接ロボットが安定した動作を行えるようにすることが、全体の自動化システムの成功に直結します。

溶接ヒュームの処理

  • どちらの溶接方式でも、溶接ヒュームの発生は避けられません。
    適切なヒューム処理システムを導入することで、作業環境をクリーンに保ち、作業者の健康を守ることが可能です。

複数製品対応の段取り替え機能

  • 溶接自動化システムでは、1台のロボットが複数の製品を溶接できるように、段取り替え機能を追加することが可能です。
    これにより、様々な製品に対応する柔軟性が得られ、生産効率が向上します。

安全対策

  • 自動化システムでは、溶接エリアを囲う安全柵やアーク溶接の光を遮断するシャッターなどの安全対策が不可欠です。これらにより、作業者の安全を確保します。

3. スポット溶接に固有のポイント

溶接電極の摩耗管理

  • スポット溶接では、電極が摩耗するため、これを管理しながら溶接品質を維持することが求められます。
    自動化システムでは、電極の摩耗を自動で検出し、必要に応じて電極の交換を行う機能を組み込むことが可能です。

4. アーク溶接に固有のポイント

スパッタ制御

  • アーク溶接では、シールドガスや溶接機の電源設定によってスパッタの発生を制御します。
    スパッタを抑えることで、溶接面の仕上がりが向上し、後処理の手間が減少します。

裏ビードの形成と管理

  • 裏ビードは、特に薄肉材の溶接において重要な要素ですが、厚板溶接でも状況によっては考慮が必要です。
    裏ビードが必要な場合は、適切な溶接条件と機器設定により、均一で強度のある裏ビードを形成することが求められます。
    一方で、裏ビードが他部品と干渉するような場合、裏ビードの形状の制御が必要な場合もあります。

ポジショナーの利用

  • 長い溶接パスや複雑な姿勢での溶接に対応するため、ポジショナーを使用することで、ロボットの動作を最適化し、高精度な溶接が可能になります。

5. 導入例

  • 薄肉材の溶接自動化実績: マフラー関連部品などの薄肉材の複雑な形状の部品における溶接自動化の実績が多数あります。
  • 厚板溶接の対応力:厚板に関しては 6ミリ~12ミリの溶接自動化に対して実績がございます。

6. まとめ

溶接自動化は、生産性と品質を飛躍的に向上させる一方で、安全対策や環境対策が重要な課題となります。
スポット溶接とアーク溶接の両方において、共通するポイントと個別の課題を把握し、適切な自動化システムを導入することが成功の鍵となります。

また、弊社では溶接ロボットシステムを数多く作ってきた経験を元に、簡易見積ツールなどもご用意しており、これから導入を検討していきたい事業者様にもイメージして頂きやすい形でのご提案が可能です。

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